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とある魔法士の軌跡(14)

「ふぃ、フィアンセ!?」

「嘘を付くな嘘を!」

 少々調子に乗っている様子の花の頭部に拓夢の鉄拳制裁が飛んだ。
 頭を押さえて涙目で睨んでいる彼女を他所に、拓夢は弁解の言葉を並べる。どうやら彼女は花の言葉を真に受けてしまったのか紅くなった顔は一向に戻る気配がない。
 女難の相でも出ていたのかと拓夢は隠れて溜息を付いた。

「……で、貴女が天嶺麗?先生の妹?」

「は……、はい」

 花の質問に肯定で返した彼女の表情は暗い。さっきまで頬を赤く染めていた人物とは別人のようだ。
 質問した本人もそれに気づかない筈もなく、寧ろ何かを察したかのように麗を指差した。その視線は力強い。
 首を傾げる麗に対して、花ははっきりと言い放った。

「今まで周りがどうだったのかは知らない。けどはっきり言っとく。あたしはあんたが『天嶺』の子だからって特別扱いなんかしないから。模擬実戦で当たろうと容赦なく叩き潰す!良い!?」

「……はっ、はい!此方こそ宜しくお願いします!」

 花の言葉に、今度はぱぁっと表情が明るくなる。心なしかその目は潤んでいるようにも見えた。
 人の心情を察することに長けてはいない彼でも、今のやり取りで麗がどういう思いで今まで生きてきたのか察することはできた。
 彼女には姉がいる。天嶺雪音という姉が。その姉は、常に麗の先を生き、そして歩いている。優秀な姉がいることで麗はきっと周りから特別な目で見られ、比較されてきた筈だ。花の問いに対し浮かない顔をしたのも、『この人からもそういう見方をされるのか』という思いの表れだったのだろう。

「というわけで今からあんたとあたしは友達。よろしくね、麗」

「此方こそ宜しくお願いします、六道寺さん!」

 何が『というわけで』なのかは分からないが、どうやら一つの友情が誕生したらしいので拓夢も何故かうむうむと頷いていた。しかし花がここまでコミュニケーション能力を得ていたのは驚きである。イギリスで一体何があったというのか。
 そんな中、いきなり教室がざわめいた。

「キミが、タクムだね? 」
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とある魔法士の軌跡(13)

「やぁやぁ学級委員長さん、これから半年間お勤め御苦労様です!」

「喧しい」

 図らずもクラスからの注目を集めてしまった拓夢は、あの後質問責めに遭ってしまった。
 人付き合い、特に見知らない人物と会話をするのが不得手な彼からすればそれ自体は逆に有り難かったりするのだが。雪音の話が終わってからは特にやるべきこともなく、今日はそれで放課となった。
 早々と寮に戻って寝てしまおうと鞄を持ったところで、花が茶々を入れてくる。
 イギリスに渡る前までの彼女との変化点はこういうところにまで表れているようだ。

「いやーあんた会わない間にお間抜けキャラになってたのねぇ。笑いを噛み殺すので大変だったんだけど」

「だから喧しいっての。しょうがねぇだろ、苦手なものは苦手なんだよ」

「やだなー未来の夫がこんなお間抜けなんて。あ、そうそう。優莉ちゃんは元気?」

「誰が夫だコラ。おう、そういえば仲良かったな。お前のこと慕ってたし。我が妹ながら出来が良くて助かるくらいだ」

「久しぶりに会いたいな、ね、夏休みに一緒に帰ろうよ」

「そうだな、そうすっか」

「い、一緒に……?」

「ん?」

 花と他愛ない会話を交わしていると、隣の席に座る麗がはっきり分かる程に顔を紅く染め、小刻みに震えている。特に不味い会話をしていたつもりもないので、彼女の反応の理由が分からずに二人して首を傾げていると、彼女は声を張り上げた。

「あ、あの!お二人はどういう関係なんですかっ!?」

 彼女の質問で、拓夢は実感した。
 自分にとって当たり前のことでも、それが全ての他者にとって当てはまりはしないのだということを。
 現に、花と自分は『故郷が同じで幼馴染』だからこそ先程の会話が成り立つのであって、関係を知らない麗が驚いてしまうのも無理はない。当の彼女は、まだ半分は残っている教室で大声を出してしまったことへの羞恥でか縮こまってしまった。

「あぁ悪い、言ってなかったよな。こいつは――」

「拓夢のフィアンセなの、宜しくね?」
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寺田きな粉

Author:寺田きな粉
学生。
ミルキアン兼ラブライバー。
twitter→@wgo_milkian

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