コンテントヘッダー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ
コンテントヘッダー

とある魔法士の軌跡(12)

「……はぁ。全くなんでこんなことに」

 あれから数日後、入学式が終わったあとだった。
 拓夢は大量のプリント群を職員室から持ってくるように、担任の天嶺から指示されていた。
 紙とはいえ束になればその重量は中々のものであるし、おまけに1年生の教室は最上階に存在する。麗が手伝うと言ってくれなければ単純に倍の量を運ぶ必要があったのだから、彼女が天使に見えてしまう。

「流石に初回から寝てしまうのは不味かったと思います。特に学院長の御話でしたし」

 不平を零す拓夢を横目に、麗は苦笑いを浮かべながらも諭すように言葉を綴る。
 彼女の言い分は正しい。しかし眠くなってしまうのは仕方がないと拓夢は自分に言い聞かせる。
 長い話を聞くのが苦手な彼にとって、同じような話題を繰り返されるのは苦痛でしかない。まるで防衛本能が働いたかのように睡魔が鎌首を擡げてくるのだ。

「あの笑顔はダメだろ、いくら何でも恐すぎる」

 すやすやと惰眠を貪っていたところを、首根っこをがっしりと掴んで起こしたのは雪音だった。
 その表情で、拓夢は察した。
 ――あぁ。マジだこの人。
 普段見せないような、そして純真な子供のような。この上なく屈託のない笑顔で、雪音は拓夢の耳元で囁いた。
 ――仕事をやるから終わったら職員室に来なさい、と。
 蛇に睨まれた蛙のようにように、こくこくと拓夢は頷くしかできず。何をやらされるのかびくびくして後は寝るどころではなかったのだから、彼女の思惑は成功だったのかも知れない。

「やぁ、ご苦労。記念すべき最初の仕事をありがとう。学級委員長・一宮拓夢君」

 白々しい態度で、雪音は拍手をしながら帰還を出迎えた。しかしその言葉を拓夢が聞き逃すはずもなく。

「学級委員長?」

「そう。最初の話で睡眠ぶっこくような不届き者のキミを学級委員長に任命する。有り難く思いたまえ」

「……思ったんだが俺以外にも寝てたやついたろ」

 確かに、と彼女は頷いた。だが。

「頭をかくんかくんと無様に揺らしながら寝ていたのはキミだけだ。私は授業にしろ話にしろ、受ける側が寝てしまうのは話す側にも少なからず原因があると思っている。人間だから眠くなることくらいあるさ。だが、マナー違反という自覚があるならせめてバレないよう寝たらどうかな?」

 そんなひどい寝方だったのか、勿論記憶などない拓夢は両隣に座っていた男子に確認の意味で視線を向ける。
 すると対象の2人は、肯定の意味で数回頷いた。

「ぐっ……!」

「というわけだ。宜しく頼むよ委員長」

 彼女の再びの拍手につられて、今度はクラス全員が追従する。
 がくりと肩を落とす拓夢に同情するように、麗は優しい眼差しを向けるのだった。
スポンサーサイト
このページのトップへ
コンテントヘッダー

とある魔法士の軌跡(11)

「だってこっちに戻ってきたってことは、改善されたんだろ?体質。だったらそのお祝いも兼ねて、さ」

 花はきょとんとして呆けたように目をぱちぱちとさせている。
 訝しんだ拓夢が目のすぐ前で手を振ると、思い出したように彼女は彼の言葉を肯定した。

「う、うん!もう万全だよ!走ったりしても全然大丈夫!にしても拓夢がそんな気の利く男になってたなんて意外」

「そりゃ随分と失礼だな、おい。幼馴染がまず無事に戻ってきたんだ、祝福のひとつくらいするさ」

 で、と彼女は突如として真剣な面持ちで拓夢を見つめる。
 その視線から、彼女の言わんとしていることは容易に想像できた。何故なら、拓夢も花に対して同じ疑問を持っていたからだ。彼女はベッドにとさりと腰掛けると、そのまま仰向けの体勢で寝転がった。

「……人の部屋で自由なやっちゃな」

「いいじゃん別に。あんたとあたしの仲なんだし。……魔法が発現したのは、向こうに渡って半年くらい経った頃かな。大変だったよ、ホント。最初の内は暴走させないように制御するのでいっぱいいっぱい。治療を受けながら訓練もして、でパンクしそうだった。拓夢は?」

「俺はまだ1年も経ってない。ろくに指導も受けてないから何も分からない状態だよ。国からの勅令とやらで強制入学ってわけ」

 やれやれと肩を竦める拓夢を見て微笑むと、彼女は話を続ける。

「でも驚いたよ、拓夢がこういうとこに来るなんて。そういうことだったのね」

「強制されでもしなきゃ好き好んで国の鉄砲玉になんかならねぇよ」

 花は体を起こすと、くすくすと口を押さえて笑った。
 その笑い方は、記憶の中にあるそれと変わっていない。ちょこちょこと自分の後ろをついて回ってばかりだった頃の彼女と。
 いくら外見を変えたとて、仕草などはなかなか変えられないものなのだ、と拓夢は思うのだった。

このページのトップへ
コンテントヘッダー

とある魔法士の軌跡(10)

 女性はわざとらしく大きな溜息を零すと、掴んでいた手を離した。
 彼女は腕を組み、舐めまわすようにじろじろと拓夢の体を見つめている。

「全く。せっかくわざわざ部屋まで会いに来てあげたってのに。まさか忘れられてるなんて思わなかったなぁ」

「いやいや、いくらなんでもお前変わりすぎだろ」

 拓夢は記憶に思いを巡らせる。腰ほどまで伸びた艶やかな黒髪に、おどおどした態度。そして、病弱な体質。
 入院と退院を繰り返していた彼女が家族でイギリスに渡ったのも、その体質を改善するためだった。病弱であることを引け目に感じていたのを、幼馴染である拓夢はよく知っている。欠席の方が多かったことでクラスメートから奇異の眼差しで見られていたことも。
 たまに彼女の調子がいいときには、近くの公園で日向ぼっこに付き合ってやるのが習慣だった。

「そう?」

「お前といえば黒髪ロング、ってイメージだったからな。何でそんなおかっぱ頭に」

「おかっぱ言うな!」

 また機嫌を損ねてしまったのか、容赦ない肘打ちが飛ぶ。
 腹部に直撃を受けてしまった拓夢は、其処を抑えて悶絶している。

「これはね、ボブって言うの。ハーフアップボブ!はい復唱」

「は、はーふあっぷぼぶ……」

「よろしい」

 満足気に踏ん反りかえる彼女の髪に視線に目を移す。
 かつては黒だった髪は茶色に染められ、左耳上の髪はシュシュで纏められて逆毛を立てるようにセット。清楚から少し派手目の女性へイメージチェンジに成功している。それはまるで、病弱だった自分との決別を意味しているようにも見える。

「痛って……ところでお前が戻ってきてるってことはさ」

「そうそう、お母さんもお父さんも一緒。今は佐賀に戻ってる」

「じゃあ、一学期が終わったら皆でパーティーでもやるか」

「パーティー?」
このページのトップへ
コンテントヘッダー

とある魔法士の軌跡(9)

 拓夢はごろんとベッドに身を投げると仰向けの体勢になり、先ほど麗から渡された紙をぱらりと開いた。
 まず男子の1番上を見て、自分の名前があることを確認する。幼稚園の頃から、出席番号はずっと1番だった。
 小学生時代は特に弊害などはなかったのだが、中学では三年間、一学期の学級委員長は男子と女子のそれぞれ最も番号が若い者が務めていたため、あまりいい思い出がない。
 人の上に立って何かをする、ということに対して根本的に不向きな人間なのだ。それは自分でも認めるところだし、母親にも苦笑いされながら言われたことでもある。
 女子の1番上を見ると、そこには『天嶺 麗』の文字が。既に知り合った彼女がいるなら、そういった立場になってもまだ楽かもしれない。

「ん?」

 そこで、拓夢はあることに気がつく。
 女子の出席番号、その1番下。

「六道寺(りくどうじ)花……?」

 思わずがばりと飛び起き、その出身地を確認する。
 ――イギリスはロンドン。
 間違いない、拓夢は確信する。しかし何故。同姓同名の可能性もある、しかし珍しい苗字であることに加え出身地までも一致するとは考えにくい。色々考えていたところで、扉が3度、小気味いいリズムでノックされた。
 誰だと思いつつも、拓夢はのそのそと扉を開く。
 身長は155cmくらいだろうか。真っ赤なワンピースに身を包み、満面の笑みを浮かべた女性がそこにはいた。

「……あの、どちらさまで?」

 途端に、女性の表情が一変した。口はへの字に曲がり、こちらをじろりと睨んでいる。
 たじ、と思わず引いてしまった拓夢の腕を、女性はがしりと掴んだ。そしてずい、と彼の体を自分の方に寄せると、互いの顔の距離が一気に縮まる。

「分かんないんだー?」

「は、はい」

「せっかく7年ぶりに会えたってのに、相変わらず拓夢は随分つれないね」

 むすっとする彼女の言葉に、拓夢ははっとする。

「お、お前……まさか花か!?」
 
このページのトップへ
コンテントヘッダー

あけましたおめでとうございます&ミルキィ年明けライブレポ

遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
あっちゅう間に一年が過ぎてしまいました。

それはそうと、元旦から友人4人と東京へ赴いてお正月だよ!ミルキィホームズライブ2013に参戦してきました。
ミニライブを含めるともう五回目の参戦なのですが、毎回キチガイみたいに騒いでしまいます。
今回は小林オペラ役の森嶋秀太さんも歌ったのですが、高音の伸びがよくてお上手でしたw
社歌や手のひらのキセキ、きこえなくてもありがとうがなかったのは残念でしたが、最後を飾ったはいぱーみるきぃあわーはそれに相応しい盛り上がり具合だったと思います!
最後にはベストアルバム発売&東名阪でのツアー発表。……福岡こいよぉぉぉぉおおおお!!!!

そして翌日のラブライブ!NYライブでも、6月16日に横浜パシフィコでのライブを発表。
キャパは5000程度のようで、再び激戦&阿鼻叫喚の様子が今から想像できます(
アニメもスタートしますし、今回以上に取りにくくなりそうです。

というわけで今回はこんな感じで。
このページのトップへ
このページのトップへ
プロフィール

寺田きな粉

Author:寺田きな粉
学生。
ミルキアン兼ラブライバー。
twitter→@wgo_milkian

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。